ネタ元の艦娘 : バンテリン
無題 Name としあき 17/08/29(火)12:19:35 No.13705097 del スピードに魂を魅了された者たちの聖地、ボンビネル。 地平線の彼方まで続く純白無垢の塩の平原には、 幾多の挑戦と栄光の歴史がタイヤの痕と共に刻まれていた。 彼らは限界の果てに、いったい何を見たのだろうか。 吹き付ける高原の風は耳元に虚しい響きを運ぶばかりで何も語ろうとはしない。 それを知るべく私は厨子奥苗代元町君に己の夢を託した。 異臭を伴って現れた黒ら顔のライダーの姿に男たちは沸き立ち、 羽織ったグリーンのジャケットを脱ぎ捨て、惜しみない拍手を贈った。 黒豹を思わせる繊細な造形のフレームに、ぽーんぽーんと鳴る異様な排気音、 命を賭す事を誇るように、手錠で繋がれたハンドルと手首――。 「助けてくれずい!!」合図の絶叫と共にエンジンがショオオと咆哮した。 今でも私は不思議に思う。燃料にニトロを使おうと提案したのは誰だったか。 巨大な火の玉はスピードも、命さえも、何もかもを超えて走り去った。 蒼天を突くように上がった爆炎は、聖地に新たな伝承を生んだ。 そしてあの日から、私の夢という名のナイフの行方は永遠に失われたのだ。
無題 Name としあき 17/08/30(水)06:36:21 No.13712763 del 見慣れぬ古びたノートと鉄パイプを手に持っていた。 ノートをめくる。但し書きの様な文章が私の筆跡で綴られている。 乾いた血のついた鉄パイプと転がった死体も気になったが、状況が分からない。手掛かりを 入手せねば。 “このノートは松本瘴四郎以外の人間が閲覧してはならない。読んでいるあなたが松本瘴四郎 なら急いでページを捲れ。” なんだこれは。兎にも角にも私は嫌な予感がしたが自分の助言に従う。 “事実1 私の記憶は30分で失われる。 事実2 瘴鶴を殺せ。 事実3 ノートは常に所持すること。 事実4 梨(ョ―ユーパン)園の技術でも前向性健忘症の治療はできない。” 目立つ様に書かれた文章以外にも過去の私が記したであろう警告文が乱雑に書き込まれてい
る。
全てを読む時間は無い。使命を果たさなければならない。 目の前にいた瘴鶴の後頭部に鉄パイプを勢いよく振りかざす。 バァンッ!テリンテリンテリン(床に落ちた鉄パイプの落下音) 鉄パイプを拾い上げる。もう時間は無いかもしれない。次の私に引き継がな─ 見慣れぬ古びたノートと鉄パイプを手に持っていた。