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* 手書き旅2 南極編 (前半) [#ab326dc9]

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 お待たせいたしました
 瘴鶴・髄鶴手書き旅 第2回 南極編です
 旅行日程が長いため枚数も多くなりますがご容赦ください
 最後までご覧いただけると幸い
 疑問・質問等があれば貼り終わった後にできるだけお答えします

 出演:瘴鶴・髄鶴・他
 ナレーション:れんそーほーちゃんでお送りします


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 「ずい達は今、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス観光を終えて最南端の街ウシュアイアへと向かっているずい
 大人が丸ごと入れる程大きいキャリーケースと手荷物用リュックサックに、
 10日分の着替えと防寒着などにカメラやノートパソコンを入れて準備万端ずい
 到着したら軽く観光と食事をしてお船に乗り込むずい!

 そうそう隣の黒いのは手荷物扱いで旅費を浮かせたずいよ…」


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 半袖姿で飛行機に乗り込んだものの、こちらに着いたら肌寒い
 それもそのはず周囲の山々は雪を冠していました

 「綺麗な街ずいね~、行った事ないけどスイスとか北欧って感じがするずい」

 「この街は南米大陸の南端にあるフエゴ島という所にありまして
 南極クルーズはもちろんの事、パタゴニアやフィヨルド観光の拠点としても栄えているんですよ」


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 「向こう側にはずい達の他にもでっかいお船がいっぱいずいね
 通りに面したお店は土産物屋か登山用品店が多かったずい
 トレッキングツアーなんかも人気だから需要があるずいね」




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 乗船後まもなく船内・船外の施設案内と、救命胴衣を着用しての避難訓練が実施されました
 夕食後には南極ツアーにおける説明会に出席です

 「ラウンジに医療室・売店・サウナまであったずいねぇ、有料だけど頼めばお洗濯もしてくれるずい」

 「出発前にもある程度説明を受けて来ましたが、先ほどの船内説明会でもいろいろ知れましたね
 まぁそれは追々語るとして…もう夜ですか、辺りが真っ暗ですよ?」

 船はまもなく南極圏へと向けて出港しました




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 「ずいは甘く見ていたずい…
 あらかじめ『ドレーク海峡は世界一荒れる海』と言われて覚悟はしていたずいが、これほどとは思ってなかったずい!
 空も海も灰色で、甲板は波に洗われ飛沫(しぶき)が窓を雨のように叩きつけるのずい

 ご飯食べに行こうとしたらまともに立っていられなくて、何かにつかまらないと移動できんずい
 食事中に椅子に座ったおばあちゃんが椅子ごとスライドしたのは忘れられんずい
 食器は滑らないようになってるずいがスープが飲みづらくて仕方ないずい
 窓から見える景色が振り子かシーソーのようにぐわんぐわん動くずい

 その後は揺れが激しくて食欲なんかなくなって、強い酔い止め飲んで1日中寝てるしかなかったのずいよ
 でも横になったらなったで、揺れに合わせて頭と足が交互に壁とかに軽くぶつかるずい…」

 早朝から夜中まで1日中揺れっぱなしで、日中は食事もとらずに臥せっていた記憶しかありません



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 ツアー3日目、1日半をかけて南米から南極圏へと到達しました
 目が覚めると揺れはすっかり収まっています
 外の景色に驚いて急ぎ甲板へ出てみると周囲は一面の氷に覆われて居るではありませんか

 「髄鶴見てみなさい、流氷と大きな氷山ですよ!」

 「ホントだずい…ずいは初めて生の流氷をみたずいよ!
 氷山はなんだか青白いずいねぇ、こんなのに出会えるなんてずい達はとても運がいいずい」

 「船長さんによるとこの時期にこの位置でこれだけの流氷群と出会うのは10年ぶりだとか
 何にしてもとりあえずは上着とカメラを取りに、一度部屋に戻りましょう…」



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 「すげーずい…流氷をかき分けて進んだ航跡が綺麗ずいね」

 「この船は耐氷船ですから多少の流氷は問題ないのですが…
 砕氷船ほど丈夫ではありませんのでこれ以上進むのは難しいようですよ?
 このままだと氷に閉じ込められてしまう恐れがあるのだとか
 現在船員さん達が対策を協議をしています」

 「せっかくの南極ツアーが台無しずい? ずいはなんて運が悪いのずいか…」

 結局予定通りの進路を航行するのは困難と判断され途中まで引き返して別の観光ポイントへ向かう一行
 そのおかげで途中ザトウクジラの群れに遭遇し、ホエールウォッチングを堪能できたのでした



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 午前は移動に費やされましたが午後はボートによるクルージングです

 「これがゾディアックボートずいか?」

 「このボートはとても分厚く丈夫で、竹のように節のあるゴムの筒をU字に曲げた構造になっています
 ですので1か所が破れてもボートが簡単に沈むことはないのですよ」

 「なんだかマンハッタンみたいで、ずいはお気に入りずいよ!」

 「ちなみに備え付けの青い容器は簡易トイレです
 『南極には何も持ち込まない・何も持ち帰らない』と南極条約で定められていますのでタバコやゴミはもちろんの事、し尿もすべて南極圏外まで持ち帰る義務があるのです」

 「…今しなきゃいけない話だったずいか…?」



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 さっそく着替えてライフジャケットを着こみボートに分乗します
 ボートの中に座るのではなく筒状の部分に腰かけてみんなが内側を向くように座ります

 「ふーん…思ったより大きな船ね…ふーん」

 「全長100mちょっとで船員を除いて100人くらい乗れるんだって
 横幅が少し広いけど全長はボク達Z1型とほぼ一緒だね」



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 初めての船外行動はメルチョール群島沖のクルージング
 分厚い雪に覆われた島と水面に漂うたくさんの氷塊が出迎えてくれました

 「瘴鶴姉ぇ~南極って思ったほど寒くないずいねー」

 「そうですねぇ、南極の映像というと猛吹雪の中で互いに温めあう皇帝ペンギンとかの画が思い浮かびますからね
 しかしあれは7月以降の真冬ですし、今は12月半ばで初夏にあたりますから外気温は+5度~-5度くらいでしょうか」

 「日本の冬のスキー場くらいの寒さずい
 でもボートで移動してる時は、風と水しぶきが冷たくて鼻水でちゃうずいね…」

 動きやすさを考えてもこもこのスキーウェア等は避けて撥水性のある薄手の登山用ウィンドブレーカー(ゴアテックス)を選択
 フリースやタイツ・ウォームソックスなどのインナーをしっかり着用すれば寒さに対処できました

 「ずいっ? 氷の上になんか居るずいよ!」



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 「これはカニクイアザラシさんですね」

 「朧のカニが危ないずい?」

 「それがこのアザラシさんカニは召し上がらないんだそうですよ
 歯がサンゴみたいに結構ギザギザしてましてそこでオキアミを濾しとるみたいです」

 「へぇ~なんでこんな名前付けたずいかねぇ
 それにしても気持ちよさそうに日向ぼっこしながらお昼寝してるずい」



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 「透明のでっかい氷塊だずい! 今まで見かけた事のないタイプずいよ
 えーと…海氷とか雪氷がなんとかって聞いたけど忘れちゃったから、あとで瘴鶴姉ぇに説明してもらうずい!」


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 「髄鶴これを見なさい、ガイドさんがちょうどいい欠片を拾ってくれましたよ
 船に持ち帰ってこれでオンザロックと洒落込みましょう」


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 短い時間でしたが、船上からとはまた違った美しい景色やボート移動の疾走感などを堪能できました
 そして一部のお客は南極の氷を使ったお酒も堪能しておりました

 「いいれふかじゅいかく? とうめいなこーりはめじゅらしいんれすよ(以下略)」

 訳:(いいですか髄鶴? 透明な氷は珍しいんですよ
 ほとんどの流氷は雪が圧縮されてできた雪氷と呼ばれるもので気泡を含んでいます
 透明なものは雪解け水が固まってできたか、海の水がそのまま凍ってできたかなんだそうですよ
 氷に閉じ込められた気泡は有害なガスである場合もあり得るので、飲用には適していないんです)

 「もうそれくらいにしてお部屋に帰るずいよ」



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 4日目の午前はチリの南極基地のひとつであるゴンサレス・ビデラ基地へ向かいました

 「んほぉぉーー! ぺぺペンギンさんだらけじゃないですか!」

 「いっぱいずい、可愛いずい、とことこ歩いてるずい!」

 「小さな島ですが、あっちにもこっちにもコロニーがたくさんあるんですねぇ
 雪の上で寝そべってたり浜でウロウロしてたり浅瀬を泳いでるのなんかもいますよ」



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 「白い眉毛?に朱色のくちばしだから、確かジェンツーペンギンさんずいね
 丸々してて可愛すぎるずい…ちょっとひと撫で」

 <<ピリリリリー!>>
 「待ちなさい愚妹! 気持ちはわかりますが『野生動物とは5m以上の距離を取る』という南極条約に基づいたルールがあったでしょう、こちらから触れるのも当然厳禁ですよ!

 相手は人慣れした愛玩動物ではありませんからお互いに怪我をしたりさせたりする危険性もありますし、通路や巣などの生活圏を何気なく破壊してしまいかねません
 万が一南極に存在しない病原菌を接触感染させてしまったら大変です、節度を持って眺めるだけにしましょうね」

 「分かりましたずい
 ずいはいい子だからペンギンさんのお邪魔はしませんずい」

 「偉いですよ髄鶴…ただ例外として、向こうから近づいて来た場合や近くを通行しなければならない場合などは仕方ありません」

 「じゃぁ足元に寄って来るまでずいは動かんずい!」



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 「それにしてもそこら中に居ますねぇ、よそ見してたら踏んづけてしまいそうですよ
 手をパタパタさせたり、首を起用に曲げて毛づくろいしたりと動作のひとつひとつが愛らしいです」

 「あの建物横にある広場はなんずいか? ちょっと見てくるずい」


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 「石を盛って作った巣で卵を温めてたずいね、これなら卵が転がらなくて安心ずい!
 ペンギンさんは雪の上には巣を作らないってガイドさんが言ってたずいがホントにそうずいな
 辺りを見渡しても、コロニーがあるのは地面が露出したところだけずい

 …さっきから見てると、他の巣から石を奪って自分のところに積んでるずいよ?
 あっちはそれでケンカしてるずい!

 みんな卵を大事にしてるずいねぇ…これもずいずい鳥に返した方がいいずいかなぁ」



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 「ふたりがペンギンに夢中になってるからお利口なづらが解説してやるづら

 この基地は建物がいくつかあって結構広いづらが、そこまで設備が整ってないから夏の間だけ職員が滞在してるみたいづらよ
 基地内には郵便局もあってここから手紙もだせるづら
 用意してた絵葉書とお金(米ドル)持って行ったら、ちゃんとここの消印で日本まで届いたづらよ~

 こういった基地は、領土主張目的・観測目的・過去の捕鯨やペンギン漁の名残拠点などで各地に点在しているづら
 当のチリも大陸の一部に対して領土主張してるづらよ
 でも現状南極大陸はどこの国の領土でもないというお約束になっているづら」


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 「初めての上陸で長靴が汚れちゃったずい
 地面の茶色いのは全部ペンギンさんの糞だったずいもんね」

 「基地のある島にボートで近づく途中から結構香ばしい臭いが漂ってましたからね
 当然これらを南極圏外に持ち出すことを防がねばなりませんので帰船後はすぐに洗いますよ」

 「逆さに設置してあるブラシに靴底をゴシゴシずい
 よく洗ったら洗浄液入りのたらいに靴ごと足を入れて完了ずいよ!」

 「靴は半屋内のリネン室に干して保管します、絶対に船室内に持ち込まないようにしましょうね
 ところでその怪我はどうしたんですか?」

 「なっなんでもないずいそこで転んだだけずい」



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 午後からはクーバービル島周辺クルージングのあと、上陸して散策です

 「この辺りは大きめの島がいっぱいあるずいねー」

 「あの島の斜面は、流氷や氷山が発生する仕組みを説明するのにちょうどよさそうですね
 コホン、髄鶴いいですか?」

 「そんな事は後にして、ボートで近づいてみるずいよ!」

 「…」



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 「うひゃー凄いずいな、これ見るずい
 10m以上もあってまるで雪壁ずい」


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 「こちらもすごいですよ
 今にも崩れ落ちそうな雪塊があります、高さは15m近いでしょうかね
 危険ですのであまり近づいてはいけませんよ」


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 「病城…この氷山もとても綺麗ね…」

 「はい姉様! でも負葬姉様には及びません」

 「まぁ病城ったら…あら、表面がでこぼこしているけれど、なんだか滑らかね…?」

 「えぇ姉様、これは氷山が反転して海中に沈んでいた部分が上に来たそうですわ
 表面のでこぼこは気泡が当たって溶けた痕なんだそうです」

 「さすが病城は博学ね…」



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 この日の海はまるで波がなく完全な凪状態でした

 「雲が水面にくっきり映ってるずいな…まるで鏡ずい」

 「髄鶴はテーブルクロスやシーツで遊んだことありませんか?
 布の端をパタッってはためかせると、小さな膨らみが手前から向こう端までスーッと動いていく感じの」

 「あるずいあるずい!」

 「ボートが進むと波が立って、海面がまるで巨大な1枚の布のようにうねる様は水とは思えない質感でしたね」

 「あれはすごかったずいよ…あんなの初めて見たずい
 …ところで瘴鶴姉ぇ、そこで何してるずい?」

 「決まってるじゃないですか、こうして可愛い妹の影となって見守っているんですよ」



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 氷山の合間を縫ってクーバービル島に上陸です
 船着き場は無いので、ボートから飛び降りるように浅瀬へ降りますので、膝まである長靴にして正解でした

 「相当大きい島ですね、石の海岸線にもジェンツーペンギンさんがたくさん居ますよ
 日向ぼっこしたり、海に入って行ったり、我々に対して物怖じしませんね髄鶴?
 はて、髄鶴はどこ行きましたか?」

 「瘴鶴姉ぇー! こっちずいよー!」



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 「上陸したら雪の丘に筋が見えたから気になったずい、これは全部ペンギンさんの道だったずいねぇ」

 「雪上の獣道とでも言ったところでしょうか
 ここでも地肌が露出したところに、みっしりと集まってコロニーを形成してるんですね
 この丘はまだ浜辺から近いですが、島の反対側までペンギン道が続いていましたよ」

 「短いあんよでたくさん歩いて大変そうずいな…
 さっきも人間の足跡をを飛び越すのに苦労してる様子が、可哀想だけど可愛かったずいよ」



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 船に戻って数時間
 夕日で雲が桃色に染まりだしました

 「髄鶴! あれをご覧なさい、素晴らしいですよ」

 「ずいは疲れてもうおねむずいよ…」

 「早く目を開けてしっかりと見なさい!」



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 「大自然はこうも美しいのですね…」

 「…ずいは…ずいはもう言葉がないずい」

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[[手書き旅2 南極編 (後半)]]&br;
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